自転車のための道路構造の知識

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自転車を乗る場合に必要な知識として、道路標識を解説してみた。


車線と車両通行帯

車道を線で区切ったそれぞれが車線ですが、法的に効力がある車線 のことを 車両通行帯と呼びます。 公安委員会が、車線を車両通行帯と指定することで成立します。

方向標識、路面の方向矢印や、黄色線は、公安委員会により車両通行帯として認められていないと設置できないものなので、 これらがあれば車両通行帯であることを視認できます。

一方、以下のような、白線のみあって方向矢印がない場合、この線は車両通行帯を示すものではなく、誘導目的の区画線かもしれません。

片側複数車両通行帯の場合には自転車でも最左通行帯(車線)の中であれば左でなくても走って良いが、 車両通行帯で区分けされていない場合は道路の左側端を走る必要があります。


普通自転車専用通行帯

路面が青帯に白文字で「自転車専用」などと描かれた部分が、普通自転車専用通行帯です。 かならず、この写真例のような車線に「⬆🚲専用」青標識があります。

普通自転車通行帯は、自動車が通るものと同じラインで区切られた一つの 車両通行帯(車線) です。路肩ではありません。 道路標識でも片側の車線数の左端の車線であることが明示されます。 この例では片側2車線のうち、左端が自転車専用という意味です。自動車の車両通行帯が2つの場合は、標識に点線区切りの線がもう一本入ります。

また、普通自転車通行帯がある場所は、すべて駐車禁止です。 この例のように、どこかに駐車禁止標識(紺地に赤斜線の丸標識)があるのが普通だけれど、標識がなくても路駐禁止です。 駐車禁止の標識のみがあったり、駐停車禁止の標識(紺地に赤バツの丸標識)がなければ、停車禁止ではないです。

ただし、現状は、路駐禁止であることを認識していないドライバーが多すぎるので、都内ではほぼ路肩の駐車スペースように扱われてしまっています。

これは横浜みなとみらいの普通自転車専用通行帯ですが、黄色線で車線が区切られている珍しい例です。 信号待ちでは広がらず縦に並べ、という意味だとは思います。

左に車が止まってるけれど、駐車ではない停車なんでしょうね。


自転車ナビライン・自転車ナビマーク

車道の斜線の左にある青矢印は「自転車ナビライン」とよばれるものです。 白の自転車マークは「自転車ナビマーク」と呼ばれていますが、自転車ナビラインとまったく同じ意味です。

この写真の場所のように、ナビラインとナビマークを混ぜてペイントしている場所も存在しますが、どちらか一方の場合との違いもありません。

自転車ナビラインは、進行方向と自転車の走路の目安であり、車両への法律上の制約を示したものではありません。

自転車ナビラインは、車線中の左の一部にペイントされているものであって、(普通自転車専用通行帯のように)それ自体が独立した車線ではありません。 車道上の車線内のものであることから、車道の左端からは少なくとも50cm以上は離れているはずです(目安でしかないので、雑に描かれる場合も多々ある)。

また、この写真の歩道にある標識は、この歩道が「自転車歩行者道」であることを示す標識です。 ちなみに、自転車歩行者道を自転車で走る場合は、歩道の中心から車道側のうちの左側を「直ちに停止できる」速度で走る必要があります。

ちなみに、普通自転車専用道路のように路面を全体を青塗りしているタイプの自転車ナビマークも存在します。

この例では、この道自体に車線がないことから、普通自転車専用道路ではないことがわかります。


自転車歩行者道と自転車道

この写真の右側の標識が、自転車道を表す標識です。左側の標識は「自転車歩行者道」(自歩道)です。

自転車道は双方向ですが、左側走行する必要があります。

自転車道はかならずその路線が、歩道と車道双方から物理的に分離されています。 この例では植え込みで分離されています。

この自転車道は、普通自転車に該当する自転車以下のサイズの軽車両だけが走行可能です。

MTBなどでハンドル幅が60cmを超える自転車や、人力車などの大きな軽車両は、自転車道の走行はできません。 これらの軽車両は、車道を走らなくてはいけません。

ちなみに、この「自転車道」の標識は、サイクリングロードである「自転車専用道路」でも使用されます。

自転車道が車道と歩道に並走して敷設されるのに対し、自転車専用道路は車道とは無関係に敷設された道路になります。

ちなみに、ほぼすべてのサイクリングロードは、自転車専用道路ではなく、自転車歩行者専用道路(これも自転車歩行者道と同じ標識を使用)になっています。

この写真は、神居古潭のサイクリングロードの深川側の入口です。 ただし、自転車専用道路になっているのは右岸側のみです。そして現在は、伊納駅(廃止)と神居古潭駅(廃止)の間は10年ほどずっと封鎖されつづけています。

(伊納駅側、後側で封鎖)

(神居古潭駅、奥で封鎖)

また、以下の例のような、青丸標識ではない自転車マークの標識や道路を色で塗り分けているだけの構造は、自転車歩行者道での自転車走行部分を示す目印です。 この道路側半分は、自転車道ではなく、歩道(自転車歩行者道)の一部であり、歩行者を妨害しないよう走行する必要があります。

この写真のように路上に自転車マークがある場合、歩行者がいなければ安全な方法で走行できます。 安全な方法での走行というのは、急転回せず、ふらつかずに運転し、危険を察知できて避けたりすぐブレーキをかけられる状態で走行することです。 周りを見ずに急に右左折したり、ハンドルがふらついたり、よそ見したり、音楽を聞いていたり、片手を離したり、 前方との間に停止までに十分な間隔をとらなかったり、といったものが一つもない運転をすることです。

  • 徐行: 常にその場で急停止できる運転(速度と減速性能に依存)
  • 安全な速度: 衝突せずに停止できるよう状態を維持した運転(速度と減速性能と他者との間隔に依存)

時速5kmだからといって、ブレーキが壊れていたり、よそ見運転をしていたら、急停止できないので徐行運転とは言えません。


自転車歩行者専用道路

河川敷などのサイクリングロードと呼ばれる道路は、ほぼ、この写真のようなに「自転車歩行者専用道路」です。

標識は、歩道での「自転車歩行者道」と同じものを使用していて、車道と隣接してないことで区別します。

左側走行で、「安全に走行」する必要があります。

最低でも、歩行者との間の側方距離はスピードに応じて十分に取りながら走りましょう。


歩行者専用道路

この写真の遊歩道(古隅田川暗渠)は、普通自転車走行可の「歩行者専用道路」です。

徐行走行が必須です。走行するのであれば、侵入ガードのある狭い道をふらつかずに走れる能力は必要でしょう。

また、つぎの写真は、小学校に隣接する、普通自転車通行可の「時間帯歩行者専用道路」の例です。

この写真の標識では、7時から17時までのあいだ、車道全体が歩行者専用道路になります。

しかし、この標識は認知されておらず、この時間帯でも通り抜けをする自動車が非常に多いのが現状です。 ここについては、あまりに自然に多くの自動車が通り抜けているものだから、小岩警察署へ電話して、歩行者専用が有効であることを確認しました。


路側帯

歩道はないけれど歩行可能である車道のみの道路の路肩部分が路側帯となります。

この写真での緑に塗られた部分が路側帯です。 緑や赤で塗られていなくても、歩道のない車道にある側線の外側は路側帯になります。

側線には、いくつかのタイプがあります。

  • 一重線: 路側帯
  • 二重線: 歩行者専用路側帯
  • 破線+一重線: 駐停車禁止路側帯

自転車は路側帯内では歩行者を妨害せずに安全に走行しなくてはいけません。

歩道と違い、自転車は路側帯内では逆方向に走行してはいけません。路側帯内で逆方向に行く場合は、降りて歩く必要があります。


道路の分類と自転車

自動車走行不可能な道路

  • 自転車専用道路: 道路状況でやむを得ない場合を除き、左側端を走行
  • 自転車歩行者専用道路: 道路状況でやむを得ない場合を除き、左側端を安全に走行。歩行者の横を通る場合は十分な側方距離(1.5m以上) を取るか、徐行する
  • 自転車通行可の歩行者専用道路(時間帯限定含む): 歩行者に注意して徐行
  • 自転車通行可でない歩行者専用道路(車両通行止め含む): 押して歩く

自動車走行可能な道路

  • 車道
    • 車両通行帯なし: 道路状況でやむを得ない場合を除き、左側端を走行
    • 車両通行帯あり
      • 片側一車線: 道路状況でやむを得ない場合を除き、左側端を走行
      • 片側二車線以上: 路肩を含む最左通行帯内を走行。追い越しで第二通行帯まで走行可能
        • 普通自転車専用走行帯: 路肩を含む普通自転車専用走行帯内を走行。追い越しで第一通行帯まで走行可能
  • 路側帯(車道と歩道の区別なし): 逆走不可
    • 通常の路側帯と駐停車禁止路側帯: 歩行者の通行を妨げない限り通行可能
    • 歩行者専用路側帯: 通行不可能
  • 歩道(車道と歩道の区別あり)
    • 自転車道: 道路状況でやむを得ない場合を除き、左側端を安全に走行。
    • 自転車歩行者道: 歩道の中央から車道寄りのうちの左側を徐行。歩行妨害禁止(避ける場所がない場合は停止する)。
      • 自転車マークあり: 歩行者がいない場合、安全に走行可能。

一時停止

一時停止の標識があれば、停止線(「止まれ」やまれに「とまれ」)の手前で、一旦停止してから、進行します。

二輪車の場合、見張っているお巡りさんが認識しやすいようにするには、止まったときに左足を地面につけるのが良いでしょう。


信号なし踏切

信号なし踏切では、停止線の手前で一時停止します。 もし、そのタイミングで踏切の音がなれば、そのまま停止しつづけます。発進してはいけません。

踏切先が詰まっている場合も、停止線の手前で空くまで待機し、侵入してはいけません。

ただし、車道信号が併設されている踏切は、信号にしたがって走行しなくてはいけません。 交差点と同様です。一時停止の必要はありません。


信号なし横断歩道

信号のない横断歩道には、必ず左右どちらかに青三角の横断歩道標識があります。

以下は右にあるパターンです。

信号のない横断歩道では、渡る人がいる場合、停止線の手前で停止し、横断を終えるまで待ちます。

視界が悪くて歩行者の存在が判別できない場合は、即停止可能な状態で走行します(加速しない)。

また信号なし横断歩道がある道路の2,30m手前の路上には、白ひし形マークがペイントされているので、 それを目安に、存在を予測して走行します。

また、信号なし横断歩道の直前で停車している車がいるときは、車を越す手前で一時停止して死角に横断者がいないことを確認する必要があります。

今ではレアですが、この写真のように、信号無し交差点で 横断歩道標識に歩行者と自転車 があり、かつ、道路に自転車横断帯(白実線帯に自転車マーク)がある場合は、 横断しようとする自転車がいる場合でも、停止して自転車を横断させる必要があります(横断歩道・自転車横断帯)。

また、自転車横断帯のみの信号無し交差点も存在するようです。この場合の道路標識は、青三角形に白自転車と横断帯になるようです。


歩行者自転車専用信号

進行方向にある横断歩道の信号が「自転車歩行者専用」という表示のある信号の場合、自転車は、車道の信号ではなく、歩道の信号に従う必要があります。

進行方向に横断歩道がある場合だけでなく、対向車線側にのみ横断歩道ある場合で歩行者自動車専用信号のケースがあります。 この状況で右折する場合は、二段階右折ではなく、先に右へ横断してから、さらに横断することになります。

この写真は、皇居の半蔵門交差点の新宿通りが内堀通りにぶつかる丁字路です。 内堀通りにはこの北側にのみ横断歩道があり、南側には存在しません。 内堀通りを南下して新宿通りに右折する場合は、先にこの信号で内堀通りを横断してから、新宿通りを横断する必要があります。


自転車走行禁止車道

この写真のように、車道自転車走行禁止標識(自転車に赤斜線の丸標識)がある場合は、歩道内を走行することになります。

また、幹線道路のアンダーパス(トンネル)やオーバーパス(陸橋)でも、自転車は走れないよう設定されているものが多いです。

この場合は、側道に入り、自転車が通れる迂回路を探すことになります。

この標識は、自転車に限らない軽車両のトンネル内走行禁止です。

自転車マークではなくオートバイマークの「二輪車走行禁止」の標識の場合(原付表示や排気量表示であっても)でも、自転車も走行はできません。


直進方向=センターライン

道路の直進方向は、対向車線との間のセンターラインに沿った方向です。 左側線の方向ではありません。 センターラインから外れた左方向の進路は左折先であり、そこへ入ることは進路変更になります。

自転車の場合、ギリギリ追い越しでかぶせ左折してくる自動車やオートバイが非常に多いのが現状です。 センターライン側が直進であること自体を知らないドライバーも多いのでしょう。 左方優先などと同様、事故の当事者にでもならなければ認識されないと思います。

このため、自転車は、分岐の10秒前くらい前もって右のセンターライン側へよっておいて、後続の左折車は左側を通させるほうが安全です。 この場合、右によるときは必ず手信号(右手を横に伸ばす)を出し、後ろを振り向いて後方確認しつつ後続車を目で牽制しましょう。

この写真は蔵前の国際通り(都道)に分岐する江戸通り(国道)です。 標識にあるように、前方は別の道路である国際通りの入り口ですが、センターラインの向きではないので、直進ではありません。

しかし、車道の左を走ると国際通りに入ろうとする車が被せ左折してきます。 この写真の道路中央の、道路の縦の割れ目の先には、江戸通りに沿った線がありますが、それに沿って走行しても被せ左折されました。 江戸通りを直進する意志を明示するために、更に右の線までよる方が安全でしょう。


自動車専用道路と高速道路

高速道路の入口には、青丸に車の標識の、自動車専用道路の標識があります。一般道な自動車専用道路もあります。

自転車は自動車専用道路には入れません。

この写真のように、漠然と左側に沿って進むことで高速道路に入ってしまう構造の道路も多いです。

自転車は、センターラインに沿った道を進む必要があります。 追い越し被せ左折する車も多いので、入り口に差し掛かるまえに右による手信号を出しつつ最左車線の中央より右を走り、 入り口の右にそうように左に寄っていくように走るのが良いです。


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